2012年9月19日
バーナードリーチは、昭和28年、前年秋からの柳宗悦、濱田庄司と共にした米国巡歴のあと、19年ぶりに日本に再来日している。
そして帰英するまでの1年10カ月間を67歳とは思えぬ強健さで、日本各地を巡り、各地方での窯場での制作、指導や描画、講演会など、多忙な日々を過ごしている。
その間の 日本の事を「バーナードリーチの日本絵日記」の中で、
“私がいなかったこの18年の間に日本に起こった事柄について、私は絶えず考えさせられている。
善であり、真であり、美であった多くのものが消え失せ、いまやその反対のものが存在している。
・・・省略・・・
混合は大規模に行われ、変遷は非常な速さで進み、風雅なおもむきなどが珍しくなってしまった。
外から見た大都市は醜く、喧騒で卑俗だ。
しかしその内側には、すばらしくゆかしい古い生活をひそめている。
そして、田舎は都市と比較にならないほど美しい。
旅では、信じられないほど我慢強い畑地と農夫たち
ひたむきな愛情と労苦に色取られた激しい手仕事に出会い、私は驚嘆する”
これはリーチが各地を廻った昭和30年頃の日記であるから、
60年程も前の日本の状態について語られている、と想像してほしい。
するどい洞察力と真に美しい物への強い感受性に私はあこがれる。
写真のコップは、先週日本橋高島屋で開かれた
「バーナードリーチ展」の会場のひとつ下の階で購入した、
リーチ思想の流れをくむ陶器で、
ひと休み、です。